「あなたは運がいいですか?」

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キャリアカウンセラー 逢坂 久美子


 「あなたは運がいいですか?」と聞かれたらなんと答えますか?

 パナソニック株式会社の創業者である松下幸之助さんは、面接の最後に「あんさんは運がよろしいですか?」という質問をしたそうです。そして「運が悪いです」と答えた人はどんなに学歴や試験結果が良くても不採用にしたそうです。ただ正直に「運が悪い」と答えただけなのに不採用にされたのではたまったものではありません。いったい松下幸之助さんはこの質問から何をみていたのでしょう。


 長い人生良いこともあれば、悪いこともありますよね。それは誰でも同じことです。

 たとえば、小雨の中、自転車に乗っていて、バランスを崩して手首を骨折してしまった人がいたとします。これは客観的にみるととても運が悪いことです。しかしそのおかげで仕事を休んで病院にいき、忙しい仕事場から少し離れて自分を見つめなおす時間がとれたと考える人がいたら、この出来事は「運が悪い」とはいえないことになります。

いろんな壁にぶつかったときに「運が悪かった」と悲観する人よりも、とらえ方を変えて「運がよかった、おかげ様だ」と思う人はより前向きに人生を歩んでいくことができるでしょう。


 さて、「でもなかなかそんな風にいつでも前向きに考えるのは難しいよな~」と思っている人がいるかもしれませんね。しかしとらえ方、考え方はくせなので、直していくこともできるんですよ。私たちキャリアカウンセラーが普段セミナーやカウンセリングの中で紹介している「リフレーミング」という考え方があります。たとえば、「長所はなんですか?」という質問をしたときに、「短所はたくさん思いつくのですが、長所はないです」と答える方がいます。そんな時にはまず短所を上げてもらいます。「一人で抱え込む」一人で抱え込むのは責任感のある証拠です。責任感のない人は抱え込みません。「だらしない」おおらかな性格なんですね。「周囲を気にする」協調性があって、心配りができる人ですね。「ずうずうしい」堂々として積極的ですね。・・・なんて会話をしていると相談者の方は、ぱーっと顔が明るくなることがあります。普段からこのようにとらえ方を変える習慣を身に着けていくことで、少し前向きに上を向いて行動していくことができるのではないでしょうか。


 就職活動は困難の連続です。不安なこともたくさんあるでしょう。何回も不採用通知が届けば「自分は価値がないのか」と思ってしまうこともあるでしょう。しかし、そんな時にこそリフレーミングをしてみてください。試練は人間を磨いてくれます。また、より自分に合った就職に結びつけるための時間をもらったのかもしれません。普段の生活でもよい方に考えるくせを身に着けることで、「運の良い人」になれるのではないでしょうか。