成田 美穂
去年の大雪をきっかけに、「働く場所や暮らし方を見つめ直したい」という相談を、この半年ほどでよく受けるようになりました。
「通勤や天候に振り回されない働き方をしたい」
「もしまた同じことが起きたらどうしよう......」
その不安は、私自身にとっても他人事ではありません。電車通勤をする身として、昨年の大雪では、一週間近く電車が動かない経験をしました。当たり前だと思っていた日常がある日突然揺らぐ感覚は、今も鮮明に残っています。
一方で、面談ではこんな声もたくさん聞いてきました。
「本当は、住み慣れたこの土地で暮らし続けたい」
「家族のそばにいられるなら、そうしたい」
さまざまな思いのはざまで揺れる方とお話しするとき、私がいつも考えるのは、「この方がいちばん大切にしたいものは何だろう」「この方が、この方らしく暮らしていける道は何だろう」ということです。現在地を離れたい気持ちと残りたい気持ちは、矛盾するものではありません。どちらも、自分の暮らしを大切にしたいという、同じ願いから生まれているのだと思います。
私自身、今の仕事を続けたいという思いがあったからこそ、「天候なんてどうにもできない」とあきらめるのではなく、「どうすれば自分が納得して、安心して働き続けられるか」を考えるようになりました。
大切なのは、できない理由を探すことではなく、「どうすればできると思う?」と自分に問いかけてみることなのかもしれません。答えは、土地を離れること、住まいを見直すこと、あるいは働き方そのものを変えることかもしれません。人によって、その形はさまざまです。
在宅勤務を取り入れている企業。通勤の負担が少ない働き方。災害時にも事業を止めない仕組みを整えている職場。探してみると、この土地に住みながら安心して働き続けられる選択肢は、思っているより多くあります。
これまで、さまざまな方の職業相談に携わるなかで感じるのは、「答えを急がなくてもいい」ということです。今の気持ちを整理すること自体にも意味があり、迷いながら考える時間は決して無駄にはなりません。
故郷への想いも、家族への想いも、安心して働きたいという願いも、すべてあなたにとって大切な判断材料です。そのどれもが、間違ってなどいません。
一人で抱え込まず、まずは今のお気持ちを、そのまま聞かせてください。
あなたのペースに寄り添いながら、一緒に、この土地での働き方を探していきたいと思っています。
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